桶の中で、時間が仕事をする。山城本店は、杉樽と麹だけを頼りに味噌を仕込み続けてきた小さな蔵です。効率のために省ける工程はいくつもありますが、いまも変わらず「待つこと」を製法の中心に置いています。このページでは、その判断を積み重ねてきた蔵人自身の言葉を、商品の説明より先にお伝えします。
「早く仕込めば、早く売れる。」そう言われた時代も、山城本店は桶の数を増やしませんでした。増やせば、ひとつひとつの桶に目が届かなくなるからです。
大きくなることよりも、桶の中の味噌に対して嘘をつかないこと。それが山城本店の続け方でした。
桶を増やせば、儲けは増えたと思います。でも、増やした桶の分だけ、私の目が届かなくなる。それだけは避けたかった。
四代目蔵元・談大豆・米・塩。使う原料は多くありませんが、どれも「誰がどう育てたか」を蔵元自身が把握できる範囲で仕入れています。
顔の見えない大豆を大量に仕入れれば、価格は安定します。ただ、何かあったときに「誰に聞けばいいか」が分からない原料は、うちでは使わないと決めています。
仕込み方 杜氏・談ステンレスタンクは温度管理がしやすい一方、杉樽には木そのものが持つ微生物と、わずかな呼吸があります。その差は、味の角に出ます。
樽の内側を触ると、季節ごとに手触りが違います。数字では管理できない部分ですが、その「違い」を読むのが樽守りの仕事だと思っています。
樽守り・談寒い時期に仕込み、夏の温度変化をまたいで1年から3年、じっくり寝かせる。急いで温度を上げて発酵を早める方法もありますが、山城本店では採用していません。
早く熟成させる方法があるのは知っています。ただ、急いだ発酵で出せる深みと、待って出る深みは、正直、別のものだと思っています。
四代目蔵元・談「味噌汁の香りが全然違う」と家族に言われました。少し値は張りますが、毎朝の一杯のために買い続けています。